新潟日和~けこさんのときめきスポット~

全国の中でも微妙な位置にある新潟☆自分なりのときめきスポットをご紹介

番外編 佐渡 ~母のルーツを探して~①

私の母は佐渡相川出身、佐渡には深い縁があります・・というかあるはずなのですが・・・実はその縁を感じたのはずいぶん後になってからで。

 

母は20歳で結婚して佐渡を離れ、それ以来佐渡を訪れたのは彼女の父と叔父のお葬式だけ。というのは私の祖母、彼女にとってはお姑さんが佐渡を「鬼ヶ島」などと呼んで毛嫌いし、佐渡へ帰りにくかったから、という理由からです。

 

やがては祖母も亡くなり、自由に佐渡に行けるようになった頃には母の父母兄弟も皆亡くなったり、離島していたりで、ついには佐渡へ帰る意味をなくしてしまった、という考えてみれば気の毒な境涯です。

 

そんな母が認知症を患うようになり、昔の思いや記憶が心の堰を切って溢れるようになりました。

 

「私の故郷は佐渡、神社の娘で父親は佐渡観光の道を開いた人・・・」その程度はまだ信じられたのですが、やがて現実と願望が入り乱れ、母の佐渡語りがどこまで本当か分からなくなってきました。

 

と同時に母の記憶が少しでも残っているうちに、彼女の思い出を辿ってみたい、という強い思いに捕らわれ、私にとって謎の多い母のルーツを探る旅に出たのが5年前です。

 

母の生まれは相川ー実はこれは母の記憶違い?願望?で彼女は京都生まれです。

母の父は神社の跡取り、これも虚実入り混じっていて、確かに神社の家系だったのですが、祖父は神社を継がず京都で映画製作の仕事に。

 

でも、相川に彼女のルーツと信じる神社の跡地は存在していて、京都から帰った両親が一時相川に住んでいたことは事実なのです。何しろ母は相川女学校出身ですから。

 

そこで、私は母が生まれ故郷と信じる相川へ行って、母の生家とされる神明神社を探してみることにしました。これが忘れられない旅になったのです。

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佐渡で出会った人、景色、今でも鮮明に思い出します。

とにかく海が半端なく美しい!これは新潟県の宝ですよ。

私はまず、佐渡市役所を訪れました。母が生まれた場所と信じる神明(しんめい)神社が今あるかどうか確かめようと思ったのです。

 

その結果は曖昧で(何しろ佐渡はやたら神社が多いのです!)結局現地で調べるのが一番と分かりました。

相川では老舗ホテルの佐渡ロイヤルホテル万長(↓いいホテルです!)に泊まったのですが、そこで聞き込みしたら思いもよらぬ情報が。

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なんと、母の父を知っているという人、御年94歳!?という方が近所にいらっしゃるとか。これはもう奇跡としか言いようがありません。

 

翌日早速彼に会ってみました。佐渡はとにかく老人が元気がいいです。

言葉も記憶もしっかりした彼から貴重なお話をお聞きすることができました。

彼は母の父、私の祖父を覚えていました。神明神社のこともうっすら覚えていて、今は他の神社と一緒になってしまったけど、その神社に写真が残っていること等々教えてくれました。

 

海辺沿いに神社が並んでいるため宮前通(みやまえどおり)と言う名前の地域。

神社が次から次へと出てきます。でも、ほぼ無人、神主さんもいません。

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能舞台が残っている神社も多いです。

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かつて神明神社があった場所は小高い場所にあり、参道への道は鬱蒼とした木々で覆われ跡地を見ることはできませんでしたが、神主一家が住んでいた居住地跡は残っていました。↓の写真の石垣がかつての神社の跡地だという印です。

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母がそこで暮らしたことがあるかどうかわかりませんが、祖父は確実にそこで少年時代を過ごしていたのです。

 

その後神明神社の資料の残っている善知鳥神社(うとうじんじゃ)を訪れ、そのお堂で母のルーツ、私のルーツでもあるご先祖様の名前を発見しました。

 

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宮司 〇〇〇章!私の母方のご先祖様!!

私は不思議な気持ちになりました。初めて母の心の故郷を訪れ、彼女の心象風景の原画を見るような。母の心は今佐渡にあり、自分はずっと佐渡で育ったと信じている・・・

 

宮前通のいくつかの神社はほぼ無人で、かつての面影もありませんが、善知鳥神社は今でも地元民が誇る「相川祭り」の神輿が出発する場所でもあり、その時期には町から神主さんが来るそうです。

 

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折しも相川祭りの時期。古い伝統衣装を着た人たちの舞や神輿行列などの伝統的な行事を見ることができました。これはなかなかに壮観で感動的でした!

 

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実は、ここで出会った善知鳥神社の氏子さんから、神明神社は今は山の方にあるよ、という新な情報を得ました。この時は時間の関係で、彼の教えてくれた山の神社には行けませんでしたが、いずれ訪れてみたい、と固く決意したものでした(残念ながら、いまだ行けてませんが…)

 

母のルーツが少し分かり、ちょっと満足。母のために写真もたくさん撮って、ご老人や神社の氏子さんたちにたくさん感謝して、翌日は晴れて相川金山、銀山の見学に出かけました。それは次の記事で!